
歯周病は歯周組織(歯の周りの組織)の病気です。
歯周組織は歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨の4つからなり、歯を支える土台の役割を果たしています。

症状の進行度合いによって、歯肉の炎症による出血、腫れを特徴とする「歯肉炎」と歯を支えている歯槽骨などが破壊される「歯周炎」の2つに分けられます。「歯肉炎」は歯周病の初期段階といえます。

歯肉に炎症が起きる歯肉炎では、まだ骨は健康なので、この時点で治療を受ければもとの健康な状態に戻ります。
しかし放っておくと悪化して「歯周炎」になり骨も溶けてなく買ってきます。

歯の表面に付いた細菌の塊で歯垢(プラーク)といいます。
口腔内には、300から400種類の細菌がいて、そのうち1割が歯周病を起こします。
健康であれば、歯周病菌がいても、その人が持つ免疫力でバランスがとれ、発症しません。しかし、細菌が急激に増えたり、疲れや他の病気で抵抗力が弱っている時に歯周病が発症します。発症進行には、肥満や全身疾患、喫煙のほか、米国では教育期間や収入なども影響する指摘されています。

細菌は何カ月も歯の表面にとどまると「歯石」という固い状態になります。すなわち、歯石は歯の表面についたプラークが硬くなったもの、つまり細菌の死がいが硬くなったものです。
歯石のあるところには、プラークが余計たまりやすくなりますので、歯石を除去し、歯の表面を滑沢にし、プラークがつきづらくします。

歯周病は15歳から増え続け、35歳〜44歳の85%、45歳〜55歳の88%が罹患しています。
厚生労働省と日本歯科医師会は80歳で20本の歯を保つ「8020運動」を提唱しています。しかし、実際には80歳の平均残存歯数は約10本にすぎません。歯を失う最大の原因が歯周病です。


歯周病は再発しやすい病気ですので、定期的なメインテナンス(定期健診)は欠かせません。
健康な方は、半年に1回。過去に歯周病になった方は再発する可能性があるので、3カ月に1回。現在も出血が時々ある方は1カ月に1回の健診が望まれます。

虫歯と歯周病は原因菌の種類が違います。
虫歯予防は食べた後比較的早い時期に磨くのがポイント。
歯周病菌は夜寝ている間に増えるので、寝る前に徹底的に時間をかけて磨くことが必要です。

歯ブラシだけでは、磨き残しの部分が多くあります。できれば補助的に使うのが好ましいです。
アメリカでは、小さな子供の時からデンタルフロスの使い方をお母さんが教えています。

口臭の9割は歯周病です。
うみだけでなく、歯周病菌自体がものすごい臭いを発します。

高血糖になって生じた物質は歯周病の炎症を悪化させ、歯周病になったところから出てきた物質がインスリンの効きを悪くします。
よって、糖尿病の患者さんはそうでない人に比べると8.6倍歯周病が悪化します。

関西電力病院の調査では、糖尿病患者さんに対して歯石をとってブラッシング指導を行い、歯周病の原因を少なくすると、ヘモグロビンAICが0.4%ぐらい改善したと報告されています。

米国で行われた研究で、歯周炎と心臓血管疾患の関連が指摘されています。歯周炎のある人は、心臓血管疾患を発症するリスクが1.8〜3倍も高いとされています。これは、歯周炎で発生した炎症性物質が心臓血管に移るためとされます。動脈にできた粥状硬化を調べたところ、約40%から、歯周炎の原因菌のひとつである「ポルフィロモナス・ジンジバリス」が見つかったというレポートがあります。

女性は唾液の緩衝能力が弱い人が男性よりも多く、唾液そのものが少ないドライマウスは男性の10倍といわれています。
歯周病菌は女性ホルモンによって増殖しやすくなります。女性ホルモンが増える妊娠中は特に要注意です。
また、更年期には、女性ホルモンの分泌の減少などによって骨粗しょう症にかかりやすくなります。この影響で、歯を支える歯周組織の破壊がすすむことがあります。更年期障害・骨粗しょう症の治療薬(エストロゲン)の副作用で歯肉の健康が損なわれるケースもあります。